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人間行動理解のための装着型センサによる大規模データベースの構築

近年、加速度センサや角速度センサ、磁気センサ、気圧計、GPSなどを有する装着型センサを用い、人間行動の理解を行うための研究開発が活発に行われています。多くの研究では、小規模なテストデータに対し、様々なアルゴリズムの開発がなされています。

 個人の行動認識が可能になれば、多様なコンテキストアウェアサービスの実現が期待できます。具体的には、ユーザ行動に合わせた家電や照明、冷暖房の制御によるエコの実現や、状況に応じた情報の推薦、特定健診の効率化、介護支援、などが考えられ、多様なデバイスやサービスの登場が期待でき、その結果、新たな産業創出が期待できます。

 一方、実際に上記のデバイスやサービスを実現するためには、サービスやデバイスの目的に応じてセンサデータの収集やアルゴリズムの開発が必要です。認識率や有用性を向上させるためには、ある程度の規模のデータ収集が必要であるため、民間企業単独でのデータ収集、アルゴリズム開発、デバイス・サービス開発は困難です。また、一般に利用可能なセンサデータやアルゴリズムは存在しません。

 センサ情報の認識は、一種の信号処理です。一般に、画像処理や音声処理といった信号処理の分野では、公開されたリファレンスデータやデータベースが存在し、それらの標準的なデータに対し、複数の研究機関が異なるアルゴリズムを適用し、様々な処理に関する優劣の比較が行われています。装着型センサを用いた人間行動理解を実世界で利用するためには、画像処理や音声処理と同様のデータの存在が求められます。このようなデータは待っていれば集まるものではなく、多数の研究者や企業が集まり、互いに必要な仕様を相談した上でデータ収集を行うことが必要です。

 本構想では、人間行動理解に関する研究開発を加速し、日本が世界をリードするデバイス開発やサービス提供を実現するために、1000人規模の装着型センサデータベースの構築を提案します。本構想に賛同した研究者、企業間では、このデータベースを商用も含め、自由に利用可能とします。また、将来的には、無償公開を行い、世界のリファレンスデータとして活用されることを期待します。